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AnkerやCIOの充電器で最近よく見かける「GaN」とは何なのか?

充電器

2024-08-28
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CONTENTS

  • 結論、急速充電を実現する半導体の新素材です
  • GaNのメリット
  • GaNのデメリット
  • GaN半導体を搭載しているオススメ充電器の紹介

AnkerやCIO、UGREENの充電器やモバイルバッテリーを購入しようとすると、ECサイトのPRで「GaN」というワードを目にする機会が増えてきました。何かすごい技術なのかと思う一方で、専門用語は難しそうだとしっかり読む人も少ないのではないでしょうか。

今回は、最近目にする機会が増えてきた「GaN」について紹介していきます。これさえ読めば、今後購入するガジェットの検討材料に「GaN」があるか否かという項目が生まれると思いますので、参考にしてみてください。

結論、急速充電を実現する半導体の新素材です

半導体イメージ

いきなり結論ですが、GaNとは「窒化ガリウム」という化合物の元素記号であり、最近注目されている半導体の新素材です。通常、半導体の素材にはシリコンを使うのが定番でしたが、その上位互換になり得ると期待され、様々なデバイスやガジェットに使われ始めています。

そもそも半導体とは?

ニュースでもよく「半導体が不足している」という記事を見かけますが、そもそも半導体の正体をちゃんと理解している人も少ないと思います。

詳細は割愛しますが、特定の条件で電気を通す物質だと思ってください。大体は基盤に埋め込むためにチップ化されています。イメージしやすくするために、「導体」「半導体」「絶縁体」の例を下記に紹介しておきます。

  • 導体:電気をよく通す物質(金、銀、銅、鉄、水 等)
  • 半導体:特定の条件で電気を通す物質(シリコン、ゲルマニウム、窒化ガリウム)
  • 絶縁体:電気を通さない物質(ガラス、ゴム、プラスチック 等)

どこに使われているのか?

GaNを使った半導体は現在、下記で使用されることが増えています

  • USB充電器&モバイルバッテリー:デバイスの高速充電に寄与
  • 自動運転・拡張現実(VR):光センサー技術「LiDAR」に採用
  • 電気自動車(EV):消費電力の削減、CO2削減などに寄与
  • 人工衛星:放射線耐性があり、小型化・軽量化・省電力化などに寄与
  • 5G技術:基地局の小型化・広帯域・高効率などに寄与
  • 医療技術:生体埋め込み型センサーなどに活用
  • LEDライト:青色LEDの素材として活用

私たちの身近なプロダクト以外にも、先端技術や医療分野でも活用が進んでおり、次世代の電力供給に欠かせない半導体であるといえます。

GaNのメリット

そんなGaNのメリットを紹介していきます。ここでは私たちの生活で身近な存在になっている充電器やモバイルバッテリーを想定し、従来の半導体素材であるシリコンと比較したメリットとデメリットを書いていきます。

① USB PDに対応している

USB PDとは、USB Type-C(USB-C)に対応した給電規格のことで、最大100Wで急速充電できるのが特徴です。これに対応した充電器やモバイルバッテリーに高出力で相性のよいGaNが使われています。

従来のシリコン半導体の充電器が充電に6時間程度かかる場合、GaN半導体のそれは2〜3時間程度でフル充電できます。時間が半分短縮されるのはすごいですね。

② 発熱が少ない

シリコン半導体の充電器やモバイルバッテリーは発熱が大きく、これを抑えるために製品を大型化しています。しかし、GaNは熱伝導率が大きく放熱性に優れているため、充電器やモバイルバッテリー本体の発熱がほとんどありません。安全面においても優れていると言えます。

③ 製品が小さい

GaNはシリコンよりも電力効率と放熱性に優れているため、製品を大型化する必要がありません。実際に、GaN半導体の充電器やモバイルバッテリーはシリコンの物と比較して、1〜2周りほど小さいイメージです。持ち運びにも便利です。

GaNのデメリット

一方でデメリットも存在するので、メリットと同じ条件で書いていきます。

① 高価である

これの最大の理由はGaN半導体がシリコン半導体よりも製造コストが高いことです。実はシリコンはこの世で2番目に多い元素であり、岩や植物、水等、色んな所から取り出せるため、資源としては尽きません。

しかも安定性が高く、加工もしやすいので大量生産が可能です。GaNはそれができないため、効果になっているという状況です。

② 変換ケーブルが必要な場合がある

USB PDに対応しているため、USBポートはUSB-Cが基本です。そのため、デバイス側がUSB-C以外のポートの場合、変換ケーブルを用意しなければなりません。

充電器やモバイルバッテリーを購入する際は、事前にUSBのポート数・形状なども確認しないと、使えない場合があります。

③ ケーブルとデバイスもUSB PD対応が必須である

急速充電を目的として窒化ガリウム充電器を購入する場合、充電器・ケーブル・デバイスの3つがUSB PDに対応していることが条件です。

仮にUSB-Cの接続ケーブルとUSB-Cポートを備えたデバイスであっても、USB PDに対応していなければ、急速充電は不可能ということです。充電器のスペックだけに注目してしまうと見落としてしまうポイントなので、気をつけましょう。

GaN半導体を搭載しているオススメ充電器の紹介

最後にGaN半導体を搭載したオススメ充電器を3つ紹介します。

① Anker Prime Wall Charger 67W

Anker Prime Wall Charger 67Wの商品画像

Anker Prime Wall Charger 67W

Ankerが出している超小型充電器です。3ポート(USB-C×2、USB-A×1)搭載なので、自宅でも他のコンセントと干渉せず、出張先でもコンセントが1つあれば持ち出し機器を一通り充電でき、今回紹介している3つの充電器の中で最も電力供給が多いです。具体的な使用感などは以下の記事で解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

「Anker Prime Wall Charger レビュー!超小型で複数ポート有」

② CIO NovaPort TRIO 65W

CIO Novaport TRIO Ⅱ 67W 3Cの商品画像

CIO Novaport TRIO Ⅱ 67W 3C

CIOが出している超小型充電器です。3ポート(USB-C×2、USB-A×1)搭載は➀と同じですが、こちらは表面がシボ加工というキズ防止処理が施され、今回紹介している3つの充電器の中で最も軽いです。具体的な使用感などは以下の記事で解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

※現在は製品がバージョンアップされ、「CIO NovaPort TRIOⅡ 67W」として販売されています。

「【CIO NovaPort TRIO 65Wレビュー】3ポート搭載の超小型充電器」

③ UGREEN Nexode Pro 65W

UGREEN Nexode Pro 65Wの商品画像

UGREEN Nexode Pro 65W

UGREENが出している超小型充電器です。3ポート(USB-C×2、USB-A×1)搭載は他の2製品と同じですが、こちらは今回紹介している3つの充電器の中で最も小さく、尚且つ一番安いです。


今回は「GaN」について紹介していきました。充電器やモバイルバッテリーのデメリット部分に関しては、今後、技術の進歩や規格の統一によって全て解消されそうな気もするので、デメリットではなくなるかもしれません。今後の動向に注目しつつ、先ずは製品を手に取ってみてはいかがでしょうか。